第81回キネマ旬報ベスト・テン発表、「それでもボクはやってない」が4冠

soreboku.jpg 毎年、日本で公開された映画を表彰するキネマ旬報社のキネマ旬報ベスト・テン。1924年開始と米アカデミー賞(1929年開始)よりも長い歴史を持ち、多くの映画ファンから信頼を得ている賞だ。81回目を迎えた今回(2007年度)も各賞が発表され、周防正行監督の「それでもボクはやってない」が日本映画ベスト・ワンになったほか、監督賞、脚本賞、主演男優賞を受賞し、4冠を達成した。また、外国語映画ベスト・ワンはジャ・ジャンクー監督の「長江哀歌」、文化映画ベスト・ワンは柴田昌平監督の「ひめゆり」が選ばれている。

 4冠を達成した「それでもボクはやってない」は、痴漢冤罪を題材にした作品。興行収入は11億円と大ヒットだったわけではないが、刑事裁判の実態を浮き彫りにしていることから絶賛を浴び、報知映画賞(最優秀邦画作品賞、最優秀主演男優賞)、日刊スポーツ映画賞(作品賞、監督賞)などを受賞。日本アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞(加瀬亮)、助演女優賞(もたいまさこ)などの候補(優秀賞)となっており、米アカデミー賞の日本代表作品にも選ばれている。

 また、主演女優賞には「サイドカーに犬」や「クローズド・ノート」、「ミッドナイトイーグル」で主演した竹内結子、助演女優賞は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の永作博美、助演男優賞は「転々」「松ヶ根乱射事件」「ALWAYS 続・三丁目の夕日」に出演した三浦友和、外国映画監督賞は「長江哀歌」のジャ・ジャンクー監督が選ばれた。新人賞は女優が蓮佛美沙子、男優が林遣都と、「バッテリー」出演コンビが受賞している。

 このほか、「読者の選ぶ日本映画ベスト・テン」は2月5日発売の「キネマ旬報」で発表される予定だ。

☆第81回キネマ旬報ベスト・テン
【個人賞】
日本映画監督賞 周防正行(「それでもボクはやってない」)
日本映画脚本賞 周防正行(「それでもボクはやってない」)
日本映画主演女優賞 竹内結子(「サイドカーに犬」「クローズド・ノート」「ミッドナイトイーグル」)
日本映画主演男優賞 加瀬亮(「それでもボクはやってない」「オリヲン座からの招待状」)
日本映画助演女優賞 永作博美(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」)
日本映画助演男優賞 三浦友和 (「転々」「松ヶ根乱射事件」「ALWAYS 続・三丁目の夕日」)
日本映画新人女優賞 蓮佛美沙子(「転校生 さよならあなた」「バッテリー」)
日本映画新人男優賞 林遣都(「バッテリー」)
外国映画監督賞 ジャ・ジャンクー(「長江哀歌」)
日本映画作品賞 「それでもボクはやってない」(周防正行監督)
外国映画作品賞 「長江哀歌」(ジャ・ジャンクー監督)
文化映画作品賞 「ひめゆり」(柴田昌平監督)

【2007年度日本映画ベスト・テン】
1位 「それでもボクはやってない」
2位 「天然コケッコー」
3位 「しゃべれども しゃべれども」
4位 「サッド ヴァケイション」
5位 「河童のクゥと夏休み」
6位 「サイドカーに犬」
7位 「松ヶ根乱射事件」
8位 「魂萌え!」
9位 「夕凪の街 桜の国」
10位 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
次点 「愛の予感」

【2007年度外国映画ベスト・テン】
1位 「長江哀歌」
2位 「善き人のためのソナタ」
3位 「今宵、フィッツジェラルド劇場で」
4位 「クィーン」
5位 「バベル」
6位 「やわらかい手」
7位 「ドリームガールズ」
8位 「ボルベール<帰郷>」
9位 「ゾディアック」
10位 「パンズ・ラビリンス」
次点 「デス・プルーフinグラインドハウス」

【2007年度文化映画ベスト・テン】
1位 「ひめゆり」
2位 「やーさん ひーさん しからーさん ―集団疎開学童の証言―」
3位 「未来世紀ニシナリ」
4位 「いのち耕す人々」
5位 「終りよければすべてよし」
5位 「出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦」
7位 「有明海に生きて 100人に聞く、海と漁と歴史の証言」
7位 「カフカ 田舎医者」
9位 「花の夢 ―ある中国残留婦人―」
10位 「靖国」

2007年度<第81回>キネマ旬報ベスト・テン決定のお知らせ
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